
Everyday!
一日の過ごし方
(ディナチャリヤ)
毎日の積み重ねで健康は作られる。
ちょっとだけ心がけることが
アーユルヴェーダの第一歩。
ディナチャリヤとは、サンスクリット語でディナ(1日)とチャリヤ(繰り返す)という言葉で、アーユルヴェーダの理論に基づいた理想的な1日の過ごし方のことを言います。
健康で幸せな一生を過ごすためには、ちょっとした毎日の健康的な習慣を続けることが大切です。
すぐに取り入れられる簡単なこともありますので、まずは一つから取り入れてみて、心身の変化を感じてみましょう。
朝
good morning !

早起きで朝日を
口内を清潔に
常温の水を飲む
朝シャワー
その他いろいろ
朝早く起きることから始めよう
日の出前に起床してみましょう。
アーユルヴェーダの古典では、日の出の96分前に起床することが理想的とされています。「ブラーフマ・ムフールタ」といわれ、日の出の96分前から日の出までの時間帯は、心身ともに良い影響を与えるといわれています。日本では「あけぼの」の時間帯です。
「早起きは三文の徳」ということわざがあるように、早起きは健康に良く、仕事や勉強がはかどると言われていますので、まずは早起きする習慣を身につけてみましょう。
そして朝日を浴びながら、深く深呼吸して体内時計を開始させましょう。

まずトイレに行く習慣を
1日をすっきりとスタートさせるために、まずトイレで排泄することを習慣にしましょう。便や尿は自分の身体の状態をチェックすることができる大切な「体のお便り」です。不用物を体に溜め込むことは病気の原因になります。不用物が体に残っているかどうか便から確認してみましょう。

ポイント♪
昨日食べたものがきちんと消化されている朝の便は、食べ物のカスはほとんど見られず、バナナのような形で水に浮きます。

まず口内を清潔にリセットし洗顔を
寝ている間の口の中は雑菌が繁殖しています。起きてすぐに水を飲むと雑菌を体に取り入れてしまいますので、健康には良くありません。まず起きたらすぐに歯と舌を磨きましょう。舌はタングスクレーパーで磨くと良いでしょう。
その後にぬるま湯で優しく洗顔しましょう。

ポイント♪
もし、抵抗がなければ、ガンドゥーシャという口の中にキュアリングしたごま油(太白ごま油)を含むことを行いましょう。口内の乾燥、歯周病を予防し、声や味覚をよくするといわれています。 その後にぬるま湯でうがいをしましょう。

朝は常温の水を飲む
睡眠中は汗を大量にかいています。失った水分を補うために、起きて口の中をきれいにした後は、必ず常温の水を飲みましょう。また水を飲むことで朝にスムーズな排泄を助けます。
朝、白湯や冷水を飲むと、眠っていた胃腸がびっくりしてしまうので、朝一は常温の水が最適です。

ポイント♪
アーユルヴェーダでは、日の出前に640ccの水を飲むと良いといわれています。量が多くて難しい方はなるべく多めの水を飲むようにしてみましょう。

オイルマッサージ(アビヤンガ)
太白ごま油で全身のオイルマッサージしながら、身体の健康状態を確認しましょう。毎日、全身を行うのは大変ですので、頭・耳・足の裏の3点マッサージを行うことがお勧めです。こちらの3点には体中につながる末梢神経が集中しているので、マッサージするだけで全身を刺激することになります。
オイルマッサージを行うと、心身を健康に導き、老化遅らせるといわれています。

ポイント♪
時間があれば、ガルシャナ(シルク手袋で皮膚を摩擦する)を行なってから、オイルマッサージを行うとより効果的です。血流が良くなり、脂肪を柔らかくするので、むくみが軽減し、美肌やセルライト解消になります。

入浴・シャワーを浴びる
オイルマッサージをした後は、身体をしっかり温めて発汗させることが大切です。
また、アーユルヴェーダでは毎朝、体を洗うことをお勧めしています。皮膚の汗・汚れ・悪臭を洗い流すことで、血液循環も良くなり、意欲や食欲が増すといわれています。また、カパドーシャが緩和されるので軽快で爽やかな気分になります。

身支度を整えて、瞑想の時間を作る
仕事などで外出する場合、清潔な衣服を身につけるようにしましょう。相手に好印象を与えることで、コミュニケーションが円滑になり、仕事も進めやすくなります。 また、化粧をして、アクセサリーを身につけることで魅力が増し、エネルギーチャージされます。
身支度を整えてから瞑想の時間を持つと心が落ち着き、1日を健やかに過ごせるようになります。
お腹が空いたら朝食を、そして外出
1日3食が基本ですが、食事はお腹が空いてから食べるようにしましょう。
お腹が「ぐぅ〜」と鳴ったら食事の合図です。
前の食事の食べ物が胃に残っている状態で食べる(食べ重ね)と、消化がうまく働かず、アーマ(未消化物)ができて、体調不良が起きてしまいます。お腹が空いていない時は無理して食べることはやめましょう。

ポイント♪
出かける前に必ず鏡を見て身だしなみのチェックをしましょう。

昼
good afrernoon !

日傘・帽子・サングラス
あつあつの白湯
食事・間食
運動
その他
外出時は日傘・帽子・サングラスを着用
日光・風・雨・空気中の細菌などから体を守るために勧めています。
特に最近の夏は猛暑の傾向がありますので、日光を直接浴びないように気をつけましょう。

人に喜ばれる仕事を
アーユルヴェーダでは生命の次にお金が求められると説明しています。お金を稼ぐことで生活や精神を支えてくれます。人に喜ばれる仕事で、かつ社会や自分自身にとって発展性のある仕事に携わると良いとされています。

食事は腹八分目
「腹八分目医者入らず」という言葉があるように、お腹がいっぱいになってしまうと胃の働きが鈍くなり、消化がうまく進みません。胃の中は固形1/3・水分1/3・空間1/3が一番消化しやすいといわれますので、食べ過ぎないように気をつけましょう。また、食事中はあつあつの白湯を一緒に飲むと消化を促進します。

ポイント♪
1日の中で一番昼食の時間帯が消化力が高いので、重いものを食べたいときは昼食時に摂るようにすると体への負担は軽減されるでしょう。

おやつなどの間食はしない
間食はやめましょう。せっかく昼食に食べたものをスムーズに消化している最中に、追加で食べ物が胃の中に入ることで消化力が衰えてしまいます。
帰宅しながら簡単に体を動かそう
仕事がデスクワークであまり体を動かしていない方は、帰宅時の電車では立っていたり、一駅分だけ徒歩で帰宅したり、エスカレーターやエレベータを利用せずに階段を使ったりなど、帰宅時に工夫して体を動かすことを取り入れてみると良いでしょう。
運動を習慣的に行なっている方は、無理しない程度に継続して行いましょう。
夜
good evening !

帰宅後、手足を洗う
旬の食材を食べる
お酒
瞑想
その他
帰宅後に手足を洗う
帰宅したら手足を洗うことを勧めています。帰宅したらすぐにシャワーや入浴するのも良いかもしれません。アーユルヴェーダでは身体にとって良い油として、体に塗るものはごま油(太白ごま油)が良いとされています。全身のオイルマッサージがベストですが、毎日行うことは難しいので、頭・耳・足の裏の3点マッサージを推奨しています。

ポイント♪
精神を落ち着かせるために、瞑想をすることをお勧めします。瞑想は、静かで落ち着ける場所で背筋を伸ばして安定した姿勢で座り、目を閉じて、ゆっくり深呼吸を続けます。10~30分位かけて徐々に心を鎮めていきましょう。
夜は食事前が良いとされています。

お酒は毒にも薬にもなる
アーユルヴェーダでは、飲酒は飲み方次第で毒にも薬にもなるといわれています。気持ちを落ち着かせるにはお酒が最も有効といわれ、疲れを癒すものとされています。
特に赤ワインは身体に良いとされており、アーユルヴェーダでは薬用酒というものもあります。
しかしながら、自分をコントロールできないような飲み方はもちろん身体にとって良くありませんので、毒になります。

寝る前に1日の反省をする
寝る前に今日1日あったことを振り返り反省しましょう。
質の良い睡眠をとるために、寝る前にスマホを見ることはやめましょう。
健康に過ごすために、睡眠はとても大切なものの一つです。

ポイント♪
睡眠時間はドーシャによって最適な睡眠時間がありますが、6〜8時間が良いといわれています。

以上が1日の過ごし方(ディナチャリヤ)になります。
全てを行おうとするのは難しいので、まずは一つ取り入れてみることから始めてみてください。
一つのことを習慣化することで、ご自身の身体や精神に良い変化を感じられたら、さらにもう一つ取り入れてみるといった感じで行ってみると良いと思います。
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参考文献
日本アーユルヴェーダ学会・訳. チャラカ本集総論篇. 3版, せせらぎ出版, 2019, 767p, p.97-118
クリシュナ・U・K. 古典から学ぶアーユルヴェーダ. 東方出版, 2019, p214, p.46-69