健康づくりのための運動×アーユルヴェーダのススメ

健康づくりのための運動×アーユルヴェーダ
「運動することが健康に良い」ということは、誰もが知っていると思いますが、どの程度体を動かすと運動になるかご存知ですか?
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では基本的な具体例を挙げて身体活動や運動を推奨していますので、アーユルヴェーダの視点も取り入れながら、ご紹介します。
アーユルヴェーダでは、運動はアグニ(消化の火)を高め、胃腸の働きを活発にします。また、精神的にも気力が増し、体を丈夫しますので、健康のためには欠かせないものです。
カパの時間帯(6:00〜10:00、18:00〜22:00)に運動すると倦怠感を軽くし、すっきりとした気分にされてくれます。
特に運動をするために適した時間帯は朝です。
適度な運動の目安は「体力の半分程度」といわれていますので、ついつい頑張りすぎないように気をつけましょう。
それぞれの体質や年齢、その日の体調に合わせて、日々の運動を行うと良いので、具体的に紹介します。
年齢別の運動のススメ
成人
- 仕事などで長時間座りっぱなしの時間が長くならないように
- 歩行や同程度の運動も含めて1日60分以上(1日8,000歩以上に相当)
- 筋トレを週2〜3回行う
ジムに通うのもお金もかかりますし、時間の確保も大変ですので、例えばエレベーターを利用せず階段を登ったり、帰宅途中に一駅分歩いたり、日常生活に運動要素を取り入れるのもお勧めです。
高齢者
- 長時間座りっぱなしの時間が長くならないように
- 歩行や同程度の運動も含めて1日40分以上(1日6,000歩以上に相当)
- 軽い筋トレを週2〜3回行う
外出や社会参加、就業、家事などの身体活動を増やすことで、座りっぱなしの時間を極力減らしましょう。
また、犬を飼うと毎日散歩する習慣ができ、癒し効果もあるので、心身ともに幸せをもたらせてくれるという話をよく聞きます。
注意点として、高齢者の場合、無理をすると関節の痛み、転倒、持病の悪化などのリスクがありますので、年齢や健康状態に応じて必ずほどほどに行うことが大切です。
子ども
- テレビやゲーム、スマートフォンなどの利用で座りっぱなしの時間が長くならないようにする
- 体育の授業はもちろん、好きなスポーツ(サッカー、野球、ダンス、バレエなど)をクラブ活動や習い事として習慣化する
子どもの場合、限界が分からず頑張りすぎてしまうので、激しい運動や運動のしすぎには、親御さんが気をつけてあげましょう。
ドーシャ別の運動のススメ
アーユルヴェーダでは、どの体質の人にも向いているのがウォーキング(散歩)です。
運動を何から始めて良いか悩んでいる人は、まずは歩いてみましょう。
四季の移ろいを五感で感じ楽しみながら、歩いてみると気持ちが良いものです。そんな時はぜひ深く深呼吸をしてみてください。
自然の恩恵を感じることでよりリラックスした気持ちになれるでしょう。

ヴァータ
比較的緩やかな運動を選んだ方が良いでしょう。運動しすぎるとヴァータが刺激されて不安定な状態になりますので、要注意です。
ヨガ、太極拳、ストレッチ、ウォーキング、サイクリング、ダンス

ピッタ
体に熱がこもりやすいので、炎天下での運動は避けましょう。運動する時はくれぐれも水分補給を忘れずに。水泳が一番良い運動といわれています。
水泳、スキー、登山、サイクリング、トレッキング、ジョギング、ウォーキング

カパ
体を動かすことが苦手なので、なるべく運動する習慣を身につけましょう。体力があるので、やや多めに運動すると良いでしょう。
ランニング、エアロビクス、テニス、サッカー、キックボクシング
「少しずつ体を動かす」
「食後に体を動かす」
日本で最も長く読み継がれている健康の古典書『養生訓』にも「少しずつ体を動かす」「食後に体を動かす」とあります。
つまり、体を適度に動かすことが大切で、長時間、楽な姿勢で座ってはいけませんという意味です。
特に食後は10分ほど休んでから、15分〜20分程度(数百歩程度)ゆっくりとした速度で軽く散歩すると、食べたものが消化しやすくなり、元気が養われるといわれています。
一方、食べた後に長く座っていると、消化力が低下し、体へ栄養分が行き渡るのを滞らせてしまい、病気になりかねないのです。
このように健康づくりのための運動は、無理せず体を軽く動かす程度で大丈夫なのです。
日々、体を適度に動かすことが大切なので、意識して生活してみましょう。
意識して実践すると、徐々に変化を感じることができると思います。
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参考文献
厚生労働省. 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023. https://www.mhlw.go.jp/content/001194020.pdf(参照2024-3-25)
貝原益軒. 蓮村誠・編訳. 養生訓. 株式会社PHPエディターズ・グループ. 2014, p383, p.141-142, p.162