
まいにちアーユルスパイス

健康に役立つスパイスの力で
まいにち元気に
日本でぜひ取り入れて欲しいアーユルヴェーダで使われるスパイスを紹介します。
慣れ親しんでいるスパイスからあまり聞いたこともないスパイスもありますので、チェックしてみてください。最近ではスーパーでもあらゆるスパイスのラインナップが揃っています。
これから少しずつスパイス情報を増やしていきたいと思います。

クミン|ジーラカ
Cumin
- 種子
主な作用
消化力を高め、お腹の調子を整える
セリ科の植物で、消化力促進や胃腸の働きを整えるといわれるスパイス。他に皮膚病、子宮を浄化するなどの効果も期待できます。



特性
油分との相性が良く、香りが引き立つのでカレーだけでなく、炒めものなどに合うスパイスです。
属性(グナ):軽性・乾性
味(ラサ):辛味
効力(ヴィールヤ):温性
消化後の味(ヴィパーカ):辛味
健康ポイント
油で炒めて、香りをしっかり引き出してから料理するととても美味しくなります。食前にクミンティーを飲むと味覚をよくします。

コリアンダー
Coriander
- 実
- 全草
- 油
主な作用
熱や灼熱感を鎮める
夏にとりたいスパイスで、体内の熱を下げる効果が期待できます。また消化力増進させ、利尿作用もあるといわれています。幼児にも用いられる安心のスパイスです。



特性
3つのドーシャを鎮静します。特にピッタを鎮静するスパイスです。
属性(グナ):軽性・油性
味(ラサ):渋味・苦味・甘味
効力(ヴィールヤ):温性
消化後の味(ヴィパーカ):甘味
健康ポイント
カレーには欠かせないスパイスです。葉や茎はエスニック料理ではお馴染みのハーブや葉野菜として食される「パクチー(香菜)」です。

フェンネル
Fennel
- 種子
主な作用
消化力が低下したときに最適
子どもから高齢者まで幅広い年齢層の消化力を強めるといわれています。
腹痛を軽減させ、腸内のガスも減らすことも期待できます。



特性
全ての体質に良い一般的なスパイスです。
属性(グナ):
味(ラサ):甘味・辛味
効力(ヴィールヤ):冷性
消化後の味(ヴィパーカ):甘味
健康ポイント
食欲がない時にはぜひ使いたいスパイスです。

クローブ
Clove
- 花柄とがく、並びに蕾
- 油
主な作用
歯・歯肉の痛み、口臭予防に
殺菌・消炎作用があり、歯のトラブルには欠かせないクローブ。
高い抗酸化作用で、肺と胃を正常に整えたり、血液組織の病にも役立ったりします。



特性
刺激が強いので多量にとらないようにしましょう。
属性(グナ):軽性・油性
味(ラサ):苦味・辛味
効力(ヴィールヤ):冷性
消化後の味(ヴィパーカ):辛味
健康ポイント
風邪や咳の時に、氷砂糖と一緒にとったり、そのまま数粒入れた白湯を飲んだりしてセルフケアができます。
天然の虫除けとしても使われますが、猫や犬には毒となるので気をつけましょう。

カルダモン
Cardamon
- 種子
主な作用
香りが良く、消化力増進に最適
消化力を高めるために安全なスパイスの一つで、心臓や呼吸器系にも効果が期待できます。
精神と感情を刺激し、明晰さと喜びをもたらします。



特性
子どもやヴァータ体質の神経性の消化不良に効果的といわれています。
属性(グナ):軽性・乾性
味(ラサ):辛味・甘味
効力(ヴィールヤ):冷性
消化後の味(ヴィパーカ):甘味
健康ポイント
香りが良いので、カルダモンコーヒーやカルダモンパンなどが合います。

シナモン(セイロンシナモン)
Cinnamon
- 樹皮
主な作用
様々な効果がある貴重なスパイス
アーユルヴェーダでは薬の調合に欠かせないハーブやスパイスとして使われています。消化不良、味覚障害、心臓病、喉・咳や鼻炎などの呼吸器系、泌尿器系、免疫系、皮膚のかゆみなど様々な作用が期待できます。心を落ち着かせ、リラックスさせる作用もあります。



特性
セイロンシナモンはピッタにも良いといわれています。
属性(グナ):軽性・乾性・鋭性
味(ラサ):辛味・苦味・甘味
効力(ヴィールヤ):温性
消化後の味(ヴィパーカ):辛味
健康ポイント
シナモンは様々な病気の予防や治療効果が期待できますので、ぜひ少量を日々取り入れましょう。
シナモンティーはお勧めです。

ターメリック|ウコン
Turmeric
- 粉末
主な作用
鼻炎や皮膚病、傷にはターメリック
抗菌作用があるため、傷や皮膚病、痒みの緩和に適しています。血液組織にも作用が期待できます。クルクミンは肝臓の解毒作用を促すといわれています。



特性
外用薬
属性(グナ):乾性・軽性・微細性
味(ラサ):苦味・辛味
効力(ヴィールヤ):温性
消化後の味(ヴィパーカ):辛味
健康ポイント
インドやビルマでは僧侶の黄衣(袈裟)はターメリックで染められています。日本ではカレー粉やたくわんの色づけに使用されています。

黒コショウ
Black pepper
- 実
- 粉末
主な作用
呼吸困難やあらゆる咳に
呼吸器系と消化器系の両方に用いられるスパイスです。体の循環を良くするといわれています。



特性
刺激がとても強いため、消化力増進や消化機能を促進させるといわれいます。
属性(グナ):軽性・鋭性・少し温性
味(ラサ):辛味
効力(ヴィールヤ):温性
消化後の味(ヴィパーカ):辛味
健康ポイント
黒コショウは白コショウに比べて温性・鋭性が強いです。体質に合わせて調整してもよいかもしれません。

ヒハツ|ナガコショウ
Long pepper
- 実
- 粉末
主な作用
消化器系と呼吸器系によい強壮剤
消化器系には欠かせないスパイスです。また、糖尿病、リウマチ、肥満病、皮膚病など様々な効果が期待できます。



特性
黒コショウや乾燥ショウガとともに有益な三つの辛味であるトリカトゥ(三辛)の一つ。
属性(グナ):軽性・油性・鋭性
味(ラサ):辛味
効力(ヴィールヤ):非温冷
消化後の味(ヴィパーカ):甘味
健康ポイント
消化力に不安を感じたら、料理にトリカトゥ(三辛)を取り入れましょう。ヒハツは黒コショウより鋭性が強いので、毎日取りすぎないようにしましょう。

サフラン|クンクマ
Saffron
- 雌しべ
主な作用
女性にとってとても貴重なスパイス
血液組織を良くするため、美肌、眼に良い、ヒステリーを鎮静などの効果が期待できます。クロッカスの花の雌しべで一つの花から数本しか取れない貴重で効果なスパイスです。



特性
3つのドーシャを鎮静させます。
属性(グナ):油性
味(ラサ):辛味・苦味
効力(ヴィールヤ):温性
消化後の味(ヴィパーカ):辛味
健康ポイント
サフランライス、サフランティー、サフランミルクなどで取り入れてみましょう。インドではサフラン配合のオイルが美肌オイルとして大人気です。

アジョワン
Ajowan
- 実
- 粉末
主な作用
味覚不良、食欲不振、腹痛、下痢の時に役立つ
野生セロリの種で、代謝機能の閉塞と停滞の回復、精神の活性化などの作用も期待できます。カルシウムと鉄分が含まれているのも特徴です。



特性
ヴァータの過剰な働きを抑えて、代謝機能を正常へと促します。
属性(グナ):軽性・乾性・鋭性
味(ラサ):辛味・苦味
効力(ヴィールヤ):温性
消化後の味(ヴィパーカ):辛味
健康ポイント
妊娠中は流産を起こす可能性があるので、使用を避けましょう。

ナツメグ
Nutmeg
- 種子
- 皮
- 粉末
主な作用
精神を落ち着かせ、良い睡眠を促す
精神を落ち着かせることに良いスパイスです。また、下痢を止め、腹痛を鎮静させたり、子宮疾患にも良いとされています。



特性
属性(グナ):軽性・鋭性
味(ラサ):苦味・辛味・渋味
効力(ヴィールヤ):温性
消化後の味(ヴィパーカ):辛味
健康ポイント
ごく少量をスパイスとして使うには問題はありません。多量に(5g以上)とると胃腸障害や意識障害などの症状がでますので注意が必要です。子どもには与えないようにしましょう。

岩塩
Rock salt
- 顆粒
- 粉末
主な作用
アーユルヴェーダでは最も優れた塩味
3つのドーシャを鎮静します。味覚を与え、消化力を促進します。塩味でありながら、強精作用があり、眼にも良い食材です。



特性
塩類のなかで最も優れています。
属性(グナ):軽性・油性
味(ラサ):塩味・少し甘味
効力(ヴィールヤ):冷性(やや温性)
消化後の味(ヴィパーカ):甘味
健康ポイント
まいにちの料理には、ぜひ岩塩を使用しましょう。甘味もあるので、料理を美味しく引き立てます。
▶︎「岩塩」を詳しく知りたい方はこちら
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参考文献
日本アーユルヴェーダ学会・訳. チャラカ本集総論篇. 3版, せせらぎ出版, 2019, 767p, p.525-596
デイビッド・フローリー+ヴァサント・ラッド. 上馬場和夫・監訳. アーユルヴェーダのハーブ医学. 出帆新社, 2000, 436p, p.164-394